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パリに生きた銅版画家 長谷川潔の世界(パナソニック美術館)


港区の汐留にあるパナソニック美術館
(旧・パナソニック 汐留ミュージアム)で
開催中の「長谷川潔展」に行ってきました

パナソニック東京汐留ビルの建物に入り
エスカレーターで4階へ

パナソニック美術館自体が
とても洗練された空間で
大きなガラス窓から光が差し込む廊下は
とても気持ちが良い場所でした

美術館の入口では展覧会のポスターがお出迎え

ポスターに描かれた
黒い背景に浮かび上がる繊細な葡萄と
風変わりな狐の姿に
一瞬で心を掴まれました

この展覧会
「長谷川潔展 — パリに生きた銅版画家の軌跡」は
長谷川潔(1891-1980)という一人の芸術家が
生涯をかけて挑んだ銅版画の世界を
その生涯とともに辿るものです

受付を済ませ展示室に入ると
そこは深く、そして静謐な黒の世界

長谷川潔は、20代で単身フランスへ渡り
パリを拠点に活動しました

そこでパブロ・ピカソアンリ・マティス
といった巨匠たちと交流し
様々な刺激を受けながら、自らの芸術を
模索していきます

解説パネルには、彼の足跡が詳細に記されています

私の目を引いたのはラウル・デュフィの名

黒が主体の作品が多い長谷川潔

あの色彩豊かなデュフィとも交流があったとは
驚きでした

彼が最もこだわったのが
17世紀に発明された「メゾチント」という
当時は廃れかけていた古典的な銅版画技法でした

メゾチントは、銅板全体を
特殊な工具で細かく目立てし
その目を削ったり潰したりすることで
深い黒から白までの無数の階調を
表現する技法です

非常に手間と時間がかかりますが
長谷川潔は、この技法こそが
自らの求める「黒」を表現できると信じ
生涯を捧げたのです

渡仏した初期のころの
様々な技法…ドライポイントやアクアチント
を学び、オリジナルな試行錯誤する
過程も興味深かったのですが
私が最も心惹かれたのは、やはり晩年
再びメゾチントに立ち返ってからの作品たち

(ブドウの房と、その下に佇む不思議なキツネ
深い黒が印象的な一枚)

(雀、砂時計、そして宙に浮かぶリング
静謐な時間が流れるような、寓意的な作品)

(繊細な衣装を纏った女性の横顔
深いメゾチントの黒が、彼女の存在感を際立たせています
女性の人物像を描いた作品は稀なのだそうです)

晩年の作品は、初期の実験的な試みから
より精神的で、内面的な静けさを
たたえているように感じられました

彼の追い求めた「黒」は、単なる色ではなく
そこから何かが生まれ
そこに何かが還っていくような
宇宙的な深さを持っています

その落ち着いた世界観がとても好きで
お土産に先ほどのポストカードで購入したのでした

ポストカードを眺めるたびに
あの静寂な空間と
長谷川潔の「黒」への情熱を思い出します

今回の展覧会は、一人の芸術家の
生涯をかけた挑戦と、その結果として生まれた
深く、美しい作品群を体感できる
素晴らしい機会でした

長谷川潔の世界…心に残る一日となりました

「長谷川潔展――パリに生きた銅版画家の軌跡」

開催は2026年7月11日から9月6日まで

東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階

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