
京成線柴又駅を降りて、柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)へ。

駅前では、むかし大ヒットした映画「男はつらいよ」シリーズの「寅さん」の彫像がお出迎え。

賑わいの中、「帝釋天参道」の門をくぐり、
映画のロケで使われた「とらや 妙法堂」やうなぎの蒲焼「川千屋」など、
懐かしい店を眺めながら進みます。



あれ?外国人観光客が少ない!
そう!ここは都内では珍しく、外国人がほとんどいません。
観光地化されているとはいえ、浅草などと比べると、
商売第一のインバウンド仕様にはなっていないところが魅力!
ほかにはない、昭和の下町風情が今でも色濃く残っているのは素晴らしいです。
ヨモギの串団子を一本食べたくなる気持ちを抑えて、
まずは参拝。帝釈天を目指します。
ほどなく立派な「二天門」。
右には四天王のうちの増長天、左には広目天。
合掌し門をくぐると、左手に大鐘楼、正面には本堂の帝釈堂がお出迎え。



まずは御神水で身と心を清め、本堂へ。
本堂入り口の頭上には大きく「喜見城」と掲げられています。
残念ながら奥は写真撮影禁止。

靴を抜いで本堂に上がると、
ご本尊とその両側に持国天、多聞天(毘沙門天)がおられます。
帝釈天はインド最古の聖典である「リグ・ヴェーダ」
の中に出てくる軍神・武勇神インドラと呼ばれる重要な神様。
須弥山(しゅみせん:仏教やヒンドゥー教の世界観の中心に存在する想像上の山)
の頂上の喜見城に住んでいることから先ほどの「喜見城」となったのだそう。
さて、無事お参りを済ませたら、
靴は脱いだまま、お堂の右手へ回ります。
今日の第一のお目当てである「彫刻ギャラリー」へ。

そこにはぐるりと大回廊が。そして壁面には、彫刻、彫刻、彫刻。

これらの彫刻は、幅1.27m、長さ2.27m、
厚さはなんと20㎝もあるケヤキの一枚板を彫ったもの。
帝釈堂内外の彫刻のうち、特に外側にある十枚の胴羽目彫刻は、
仏教経典の中でも最も有名な「法華経」の説話を選び出し彫刻。
大正末期から昭和9年に至る十数年の歳月を費やして完成したのだそうです。
説話に基づいて彫られた、
⑴塔供養図、⑵三車火宅図、⑶一雨等潤図、⑷法師修行図、
⑸多宝塔出現図、⑹千載給仕図、⑺竜女成仏図、⑻病即消滅図、
⑼常不軽菩薩受難図、法華経功徳図、⑽法師守護図
の10枚の彫刻はまさに圧巻。




とにかく、厚さ20㎝の中に広がる奥行感には感嘆しました。
しかも、これらの彫刻を中心に、
最上段には「十二支の図」、その下には「天人図」「説話彫刻図」「千羽鶴図」、
階下には「花鳥図」、その最下段には「亀図」が彫刻されています。
彫刻、彫刻、彫刻‼




これほどの数の彫刻が施されているなんて、
きっと単位面積あたりの彫刻数は日本の中でも指折りだと思います。
今ではありがたいことに、
お堂の周りの大回廊全体が、総ガラス張りの屋内空間に収められており、
これらの彫刻が風雨塵埃から守られ、私たち来訪者も、
天候に関係なく、じっくり時間をかけて観て回ることができます。
平成3年の竣工と書かれていました。
のちほど地面に降りた際には、地上から仰ぎ見ることもできます。
ありがたい。
解説をしてくれるボランティアの方に聞くと、
後から造られたこの大回廊に立って観ると、彫刻は目線の高さにありますが、
本来、これらの彫刻は、地上から見上げるように設計され彫られていることから、
彫刻に出てくる台座などは、平らな面をわざと斜めに傾けて、
また、奥行きを感じられるように、建物の軒下なども斜めに彫っているのだそう。




なるほど、この説明を受けて、かがんで低い位置から見上げると、
ちゃぶ台のような台座は確かに平らに見え、
彫り物の家屋や雲などの下に奥行きが味わえます。
なるほどなるほど合点‼
なぜテレビ放送などで取り上げないのでしょうか?
こんなに立派で見ごたえのある彫刻群を。
これほど素晴らしい彫刻を、手を伸ばせば届くような身近に観ることができるのに。
さて、その大回廊とつながった別の回廊を行くと、
今度は日本庭園「邃渓園」(すいけいえん)です。
この庭園は、東京は向島の名庭師・永井楽山翁の最後の名作と言われています。
こちらも周囲にぐるりと回廊が巡っており、
視点を変えながら庭園の佇まいを愉しむことができます。







今は寒い時期なので、つややかな緑は愉しめませんが、
春以降は池の鯉がゆったり、亀が日向ぼっこといった定番のシーンに加え、
小鳥がさえずり、色とりどりの花が緑の松に映え、
ゆったりとした雅で素晴らしい和の空間を愉しめそうです。
拝観料は彫刻ギャラリーと庭園で400円。大満足。
さて、おなかがとても減りました。
先ほど参道で、美味しそうな香りを漂わせていた「川千屋」(かわちや)へ。
メニューの中から、今日はひつまぶしを選んでみました。


まずはそのまま蒲焼に舌鼓。しっかり脂がのって、柔らかく…旨い!
次にとろろをかけて一膳。美味しい!
最後に薬味を添えてだし汁で堪能。
すっかり食べ過ぎましたぁ。
店を出て参道を戻ります。
寅さんシリーズの撮影現場の様子が至るところに。
「とらや」で、甘いものを。
草団子のひと串と団子の箱詰めを購入しました。
お店の前で、ゆったりとベンチに腰掛け、
お店の人が淹れてくれた煎茶と一緒に団子をほおばります。

ヨモギの香りとつきたての餅。美味しい!
あれだけ食べたばかりなのに、甘党の私にとってはやはり別腹。
それから、佃煮屋さんでは、色々と試食をさせていただき、
今日は、茎わかめの一品をお土産に。




参道出口付近には、懐かしい駄菓子屋がありました。
中に入ると所狭しとお菓子が。そして大人買いをしている沢山の人。

今では全く見ることが出来なくなった、白黒のブラウン管のテレビでは、
力道山と覆面マスクのデストロイヤーが闘っていました。
懐かしい。
私はさすがに力道山の試合は観たことはありません。
でも、小さいころ、おばあさんと一緒に、
テレビでプロレス観戦をしたことを懐かしく想い出しました。
デストロイヤー対ジャイアント馬場の試合。
アントニオ猪木、アンドレザジャイアント。懐かしい。
柴又駅に到着。
ずっと冷たい風が吹いていましたが、
懐かしい「昭和」に触れ、美味しいものに舌鼓を打って、
胃も心もすっかり満たされました。
柴又帝釈天。特に“超絶技法”の彫刻は見応えがありました。
運慶・快慶や高村幸太郎ほどの著名な彫り師ではありませんが、
細かい表情や動きが表現された素晴らしい彫刻群を観ることができ、
今日はやって来た甲斐がありました。
なぜテレビとかで紹介しないのでしょう?
こんなに素晴らしい空間なのに・・・
・アクセス
東京都葛飾区柴又7-8-12
京成線柴又駅下車 徒歩3分
・駐車場
なし
・開園時間
午前9時~午後4時
・入園料
彫刻ギャラリーと庭園の共通で400円(小中学生200円)
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