日経平均株価が前日比4,451円の大暴落
2024年8月5日、日経平均株価が世紀の大暴落。
前日比4,451円の下落は、1987年10月20日の米国株急落が世界に飛び火した「ブラックマンデー」に伴う下落幅3,836円を大きく上回りました。
翌日の8月6日には、一転して3,217円の上昇となり大幅に反発しましたが、その後も日経平均株価は8月4日以前の数値にはまだほど遠い位置にあります。
今回の日経平均株価の大暴落は、様々な要因が絡み合っているようですが、特に主要な要因とされているのが、日銀の利上げとFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測による円高に伴うものだそうです。
日本の株価の上昇は、もともと構造改革などの本質的な変革によるものではなく、為替の円安という脆弱な要因に基づくところが多いと言われており、今回、円高によって、海外の投機資金が円買い・日本株売りに一気に転じ、株価が暴落したとのことです。
そして、株価の大暴落は、投資信託の基準価額にも大きな影響を与えました。
私は、2014年7月から投資信託を始め、今日まで、インデックスファンド、アクティブファンド等、様々な投資信託を購入・積み立ててきました。
そこで、今回の日経平均株価の大暴落を契機に、2014年から現在(2024年9月)に至るまでの投資信託購入の10年間を振り返ってみました。
【投資信託の購入開始とこれまでの経緯】
私は、2014年7月に、セゾン投信の投資信託の積み立て購入を開始したことを皮切りに、これまで10年の間、以下の表のような投資信託を購入・積み立ててきました(NISA関係のものは、私と妻の名義でそれぞれ購入)。
各投資信託の手数料及び資産配分比率等(2024年9月現在) (比率の単位:%)
投資信託名 | 委託・販売会社等 | 純資産総額 (億円) | 信託報酬 年率(%) | 比率 | 日本 | 米国 | 欧州 | 新興国 | その他 | ||
信託財産留 保額(%) | |||||||||||
1 | セゾン・グローバル バランス ファンド | セゾン投信㈱ | 5,071 | 0.495 | 株式 50.0 | 2.7 | 33.2 | 7.8 | 5.3 | 1.0 | |
0.10 | 債券 50.0 | 3.1 | 27.1 | 18.7 | 0.0 | 1.1 | |||||
2 | セゾン資産形成の達人ファンド | セゾン投信㈱ | 3,375 | 0.572 | 株式 100.0 | 11.9 | 41.3 | 25.3 | 8.9 | 10.6 | |
0.10 | 債券 | ― | ― | ― | ― | ― | |||||
3 | さわかみファンド | さわかみ 投信㈱ | 4,435 | 1.00 | 株式 88.2 | 84.8 | 3.4 | ||||
なし | その他 11.8 | 11.8 | |||||||||
4 | ひふみ投信 | レオス・キャピタルワークス㈱ | 1,759 | 1.078 | 株式 98.5 | 92.3 | 6.2 | ||||
なし | その他 1.5 | 1.5 | |||||||||
5 | 結い2101 | 鎌倉投信㈱ | 4,615 | 1.100 | 株式 65.2 | 65.2 | ― | ― | ― | ― | |
なし | その他 34.8 | 34.8 | |||||||||
6 | SBI資産設計 オープン (資産成長型) | SBI証券㈱ | 423.7 | 0.748 | 株式 40.0 | 20.0 | 20.0 | ― | |||
債券 40.0 | 20.0 | 20.0 | ― | ||||||||
0.15 | |||||||||||
その他 20.0 | 20.0 | ||||||||||
7 | eMAXIS slim 米国株式 (S&P500) | SBI証券㈱ | 50,121 | 0.0935 | S&P500指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果を目指して運用 S&P500指数:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが公表している株価指数で、ニューヨーク証券取引所等に上場及び登録されている500銘柄を時価総額で加重平均し指数化したもの。 | ||||||
なし | |||||||||||
8 | eMAXIS slim 全世界株式 (オール・カントリー) | SBI証券㈱ | 39,204 | 0.0577 | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果を目指して運用 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス:MSCI Inc.が開発した株価指数で、世界の先進国の株式(89.1%)・新興国の株式(10.9%)で構成 | ||||||
なし | |||||||||||
9 | eMAXIS slim 先進国 株式インデックス | SBI証券㈱ | 7,597 | 0.0988 | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果を目指して運用 MSCIコクサイ・インデックス:MSCI Inc.が開発した株価指数で、日本を除く世界の先進国の株式で構成 | ||||||
10 | ㈱三菱UFJアセットマネジメント | なし |
【用語の解説】
・信託報酬
投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間に投資家が支払い続ける費用のこと。
別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といったように毎日差し引かれる。
投資信託の種類によって信託報酬は異なり、年0.5~2.0%程度が主流。
一般的に、特定の指数への連動を目指すインデックスファンドの方が、ファンドマネージャーの手腕が問われるアクティブファンドより信託報酬が低い傾向にある。
実際、上表のように、アクティブファンドであるさわかみファンドなどは、軒並み1%近い信託報酬となっている。一方、eMAXIS slimシリーズは、0.1%を割る信託報酬となっている。
投資家が負担する費用には、このほか、購入時にかかる販売手数料(無料の場合がほとんど)や解約時にかかる信託財産留保額等がある。
・信託財産留保額
投資信託を途中で換金するときに、換金する人が負担する費用。手数料のように運用会社や販売会社の収益とならず、換金時に換金代金から差し引かれ、投資信託に残す財産。
一般に投資家による解約が起きると、途中換金のために株式を一部売却するなど、解約請求がなければ本来発生しなかったコストが必要となる。途中換金する投資家と、長期的手に投資信託を保有し続ける投資家との公平性を保つ仕組み。
・インデックスファンド
ファンドの基準価額が、ある指数(インデックス。例えば、当該ファンドがベンチマークとする日経平均株価やTOPIXなど)と同じ値動きをすることを目指して運用する投資信託や上場投資信託(ETF)のこと。パッシブファンドとも呼ばれる。
・アクティブファンド
指数を上回る、または指数に捉われずにリターンの獲得を目指して運用する投資信託等のこと。
<投資信託の選定にあたって>
〇特に、セゾン投信、さわかみファンド、ひふみ投信、結い2011は、セミナーに参加し、それぞれの会社のトップの考え方や投資信託の設立趣旨や配分比率の取り方等を聴き、投資信託の購入先の参考にしました。
巷でよく言われている失敗例のように、銀行や証券会社の窓口に行き、「投資信託を始めたいのだけれど、何か良いものはないか?」などと聞くことは避け、関係する書物を読み、販売会社等の関係者の話を直接聞き選定することにしました。
〇投資信託は、長期、分散、積立が基本であり、特に分散という意味で、投資信託全体で、株式、債券、その他、日本、米国、欧州、新興国など、幅広くとらえるように心掛けています。
〇旧NISAやつみたてNISAを効果的に活用することや、2024年1月からは、新NISAとして、つみたて投資枠、成長投資枠をそれぞれ制限枠まで利用(つみたて枠:月10万円ずつ12か月で120万円、成長枠:年初に240万円)することなどにも留意しました。
〇信託報酬がかなり低いeMAXIS slimシリーズや、手数料が幾分有利という点で直接販売する形を取るもの、いわゆる直販系のものを選んでいます。
ただし、さわかみファンドは、アクティブファンドを謳っており、決して信託報酬は低くありません。
<その他>
〇8月5日に世紀の大暴落が発生しましたが、もともと長期積み立てをモットーとしているため、基本的には売却等をせず、そのまま積み立てを継続しています。
〇私は59歳の時に、終の棲家として今のマンションを購入し、その際、住宅ローン特別控除を活用しました。
当時はまだ、毎年年末のローン残高の1%を10年間、最高40万円まで控除される制度内容だったため、総控除額ができるだけ多くなるように、4,000万円超を借入しました。自らの試算では10年間で300万円ほど控除されることとなり、 この300万円は投資信託に効果的に活用するようにしています。
なお、特別控除の制度はその後改正され、現在は、0.7%、13年間となっています。
1%×10年=10% > 0.7%×13年=9.1%となり、単純には制度改悪ですね。
予定では、特別控除最終年の69歳時に残金を一括返済する予定で、その際に、投資信託を一部売却することを考えています。
〇これまで、各投資信託の騰落率の状況を見て、あまり運用益が見込めないものについては順次売却し、新NISAのつみたて枠や成長枠へ投資替えを行っています。
<投資信託の騰落率の推移>
各投資信託の騰落率の推移については以下のとおりです。
ここでいう騰落率とは、その時々の運用損益を積み立てた投資金額の総額(元本)で割ったものをいいます。
例えば、投資開始から積み立てた投資金額の総額(元本)が200万円で、運用損益が100万円の場合、100万円÷200万円×100%=50%の騰落率ということになります。
なお、各投資信託の毎月の積立金額や現在の総評価額については、生々しいので控えさせていただきます(笑)。
【私見と今後】
〇投資開始初期は、騰落率の上下のブレが大きく、マイナスとなる場合も多い。
なお、その後、投資金額(元本)が大きくなるにつれ、上下のブレは落ち着いてきました。
〇長期にわたり積み立てした場合の方が、短期間の積み立てより基準価額の変動の幅が小さいようです。
〇それぞれのファンドにより、その資産配分の構成は、日本の株式を主体としたもの、世界各国の株式を主体としたもの、株式のほか債券等を組み合わせたものなど、種々異なるため、同一の値動き方向(基準価額の変動)とはなりません(投資信託の分散効果)。
〇投資信託の広報媒体などで、よく「500円から積み立てられます!」などといった記事を見かけます。投資信託を始めるきっかけとしてはよいと思いますが、やはり総評価額(元本+利益)が一定程度大きくないと利幅に効いてきません。
例えば、
①基準価額が30,000円で1,000,000口持っていて、総評価額が3,000,000円の場合
基準価額が1%上昇した場合、総評価額はが3,030,000円となる。
②基準価額が30,000円で10,000口持っていて、総評価額が30,000円の場合
基準価額が1%上昇しても、利益は300円にしかなりません。当たり前ですが。
※ 騰落率、基準価額や総評価額などについて、詳しくは、「投資信託と複利について考える」をご覧ください。
〇今回の日経平均株価の大暴落は8月5日に発生しましたが、これを受け、投資信託の暴落は、翌8月6日に表れているようです。
また、日本株式に無関係な投資信託は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げなど、別の要因の影響を受けているようです。
〇投資信託の多くが、7月に基準価額のピークを迎え、現在はまだ、その頃の値には戻っていませんが、ゆっくりと上向きになりつつあるようです(そうなることを期待しています!)。
〇前述の図表「投資信託騰落率の推移」の数値は、積み立て期間全体での騰落率であり、年平均の利率を計算すると以下のとおりとなります。
上表の①の投資信託の場合の例
2014年7月に積み立てを開始し、2024年9月までの積み立て期間は10年2カ月
10年2カ月=10年+2月/12月=10.17年
9月時点での騰落率は54.2%であることから、1.542の10.17乗根を求めると、
10.17√1.542=1.0435
よって、年平均利率は4.35%
つまり、①の投資信託では、年平均4.35%の複利の利率で10年2カ月を経た時に、元本に対して54.2%増加したということ。
ちなみに、これを逆算してみると、年率4.35%は1.0435であるため、1.0435を10.17回(10年2カ月分)掛け合わせると1.542となり、通算の騰落率は54.2%。
(もっと簡単な例では、年率4%で10年間積み立てると、1.0410=1.04×1.04×1.04×…×1.04=1.48 となり、10年後の騰落率は48%となる。逆に48%の10乗根を求めると、10√1.48=1.04 )
〇10年間を振り返ると、投資信託購入初期のころは、ものによっては利益率が1年以上もマイナスの状態が続いたこともありましたが、その後もコツコツ積み立てを続けた結果、利益率はなんとか落ち着いてきました。
〇今回、世紀の大暴落も経験し、大変よい勉強になりました。
当面、大きな資金が必要となる人生のイベントもないため、まずは約6年半後にやってくる住宅ローン残金一括返済までの間、元気に働きながら、引き続きコツコツと長期・分散・積み立てを続けていこうと思っています。